ぶっちゃけFIRE 手取り25万円で子育てしながら1億円ためる方法教えますの改訂前の著書である、『FIRE』子どもを2人育てながら1億円貯めた夫婦の40代FIREまでの道のりを読んでみました。
手取り25万でもFIREできる可能性があるのかなと、気になって読んだのですが、残念ながらそれを裏切られる様な内容だったので、買って後悔することが無いよう注意喚起のためレビューします。
この本のポイント
- 筆者は、会社からの手取りは25万だったかもしれないが、年収は桁違いだった
- 筆者がFIREできたのは、超高収入だったから
- 筆者のお金の知識はあまり高くない
手取り25万円だけで1億円貯めたわけではない
タイトルに手取り25万円と書いてありますが、会社からの手取りの月収は25万円だったのかもしれませんが、年収で言ったら桁違いに多かった様です。
本文中に「年収720万、月収40万、手取り25万」という記載がありましたが、年収720万円だと手取りは約75%なので、月収40万なら手取りは約30万です。
もし本当に手取りが25万円だったとすると、25÷40=62.5%なので、手取りが62.5%しかないということになります。
手取りが約62%になってしまうラインは年収約2,500万円くらいになるので、副業で1,800万円近く稼いでいたと言うことになります。
実際、著書の中でKindle等の出版で1,000万以上稼いでいたと言っていますので、年収は2,500万円近かった可能性があります。
これに奥さんの収入が約300万円あるということだったので、世帯収入で言うと約2,800万円です。
「年収2,800万円で子育てしながら1億円ためる方法教えます」だと誰も買ってくれないから、手取り25万と言ったのでしょうが、読者からしたら「騙された!」って感じです!
筆者がFIREを達成できたのはGAFAに転職して年収2,000万超になったから
筆者は、著者の中でGAFAの部長職に転職に、年収が2,000万円超になったと述べています。
(GAFAはGoogle、Apple、Facebook、Amazonの頭文字をとった略語です。今はこれにMicrosoftを加えて、GAFAMと呼ばれるのが一般的です。)
GAFAに転職するまでの17年間で約5,000万円を貯め、GAFAに転職してからの4年間でさらに5,000万円貯めてFIREしたと言っています。
17年で5,000万は、年間約300万円なので、共働きで節約に節約を重ねればなんとかできなくもないかもしれませんが、4年で5,000万となると年間約1,250万円です。
こんなの到底真似できないですよね?
なのでこの本は、「幸運にもGAFAに転職できてFIREした人の話」であって、再現性は全くありません。
4%ルールを誤解している
筆者は、FIREの基礎知識である4%ルールについても誤解がある様でした。
FIREにおける4%ルールとは、ざっくり言うと「資産を米国株式50%、債券50%の比率で投資し、年間で開始時点の4%ずつ取り崩していけば、30年以上資産がもつ可能が高いよ」という、アメリカのトリニティ大学の研究結果に基づくものです。
筆者はこれを「投資で年利4%稼げるから、年間支出の25倍の資産を貯めればFIREできるよ」と勘違いし、毎年4%の利益が出るとは限らない、と否定的です。
そんなことは百も承知で、それをふまえても資産が30年以上もつ可能性が高いという話なんですがね・・・
投資額を支出に含んでしまって考えている
支出の話で、子育て世帯は年間で約1,150万円かかると言っており、その内訳は固定費で560万、変動費で364万、教育費で226万とのことでした。
そしてこの固定費の中には確定拠出年金164万と、ドルコスト平均法での何かの積立50万が含まれます。
(ドルコスト平均法とは、株式等を一度に買うのではなく複数回に分けて買うことで購入単価を平準化する手法のことで、肝心な何を買っているかについては触れられていませんでした。)
これらは貯蓄なのになぜか支出として計算されてました。
贅沢はしていないと言っているが、支出額は世帯平均の2.3倍
贅沢はしていないということでしたが、本当にそうでしょうか?
貯蓄を除いた支出だけでも年間936万で、月々平均約80万円です!
お子さんが2人ということなので4人世帯ですが、2024年の総務省の家計調査報告書によると、4人世帯の生活費平均は月29万円です。
この29万円のうち、教育費は月々約3万円と少なすぎるので教育費を除いて比較しても、筆者の家庭は月々約60万円、平均は約26万円です。
中央値ではなく平均値ということを考慮しても、約2.3倍は贅沢しすぎじゃないですかね?
恐らく、給料が上がりすぎて金銭感覚が狂ってしまった典型的な例かと思います。
筆者が目指したのはそもそもFIREではなく、いわゆるサイドFIRE
支出が多すぎるため、リタイアするのは諦めて、筆者が目指したのは夫婦で年間400万円稼いでゆるく暮らすという、いわゆるサイドFIREです。
しかし本書の中ではサイドFIREという言葉は出てきておらず、おそらくFIREやサイドFIREの概念をご存知ないのではないかと思います。
本を出版するのであればもう少し知識を身につけてから出版して欲しいですね・・・
この本を読んだ感想
「手取り25万円で子育てしながら1億円ためる方法教えます」というサブタイトルに惹かれて読んでみましたが、実際は「年収3,000万超えでも金遣いが荒すぎて、1億貯めてもサイドFIREしかできなかったおれの話!」って感じで、全然私には当てはまりませんでした。
(っていうかこれが参考になる人なんていなくないですか?)
残念ながら、期待していたのに裏切られたという感じです。